エステティックサロンの「たかの友梨ビューティクリニック」が６月をメドに、都内に男性向け店舗を初めて単独で出店する。
３０代以上の男性を主な顧客と想定しており、特に、第一印象が重要とされる営業担当の会社員などの利用を見込んでいる。
＜1999･2･22 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
女性だけを対象としていたサービスを男性まで拡大しようとする市場拡大戦略です。
これまでも、アデランス等のかつらメーカーは、女性かつらの専門店を強化して事業を拡大していますし、また、パチンコや競馬といったギャンブルの世界でも、女性の取り込みに成功しています。
昔と比べて、男性と女性の価値観は次第に近くなってきており、こうした視点での市場拡大のチャンスは、今後も増えてくると思います。
但し、記事にあるような「３０歳以上の営業マンが主なターゲット」ということは「見当違い」だと思います。
単純に女性にモテたいと思う２０代前半の社会や、あるいは大学生が利用するようになるでしょう。
なぜならば、エステを利用する目的は女性も男性も変わらないはずですから。
コンパック、日本ＪＤＥ、朝日アーサーアンダーセンがＥＲＰ商品をパッケージ化
コンパック、日本ジェーディーエドワーズ、朝日アンダーセンの３社は、共同でＥＲＰ（統合基幹業務システム）をパッケージ化したソリューションを販売する。
ＥＲＰは従来大企業向けであったが、パッケージ化により金額を半額程度に抑える
ことにより、売上高１００億円規模の中堅企業を狙う。
＜1999･2･16 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
この記事も、対象企業を大手から中堅に拡大する、いわゆる市場拡大戦略です。
どのような業界でも、新しい製品の導入は、業界をリードする大手企業から始まり、価格が安くなるに従って、次第に小さな会社に波及してきます。
企業としては、価格を安くすることはリスクですが市場を拡大するためには、いずれ必ず、必要になります。
ターゲットひろげる「タイミング」の見極めが非常に重要です。
日本電産は、グループ経営の大幅な効率化に向けた新会社を設立する。
グループの国内余剰人員５００人を吸収し、給与を抑えて各社に再派遣するほか外部委託してきた業務を取り込む。
業績低迷企業を買収しながら、「雇用は必ず守る」と公約してきた永守社長にとっては、“公約”と再建を両立する苦肉の策と言える。
＜1999･3･5 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
２月の失業者が４．６％と史上最悪水準を更新しましたが、企業内の潜在的な失業者を合わせると、失業率は１０％を超えるという声もあります。
低成長経済になり、さらには、グローバルな競争が激化する中で、終身雇用という
日本型経営が企業にとって非常に重荷になってきています。
多くの会社で、希望退職等、いわゆるリストラが行われていますが、やはり企業の中には、社内のモラルを維持するためにもソフトランディングを図りたいという意識が強くあります。
今回の、日本電産の取り組みもこうした意識の表われであり、同様の受け皿会社を設立する企業が増えると思います。
ＮＴＴドコモは、２０１０年時点の移動体通信サービス像となる「ドコモ２０１０年ビジョン」をまとめた。
同ビジョンでは、２０１０年時点の携帯電話・ＰＨＳの総普及回線数を８，０００万回線、人口当たりの普及率を６０％と見込む。ドコモは今後の経営計画立案やマルチメディアサービスの指針とする。
＜1999･3･26
日本経済新聞＞
＜ポイント＞
ちょうど１０年位前のバブル景気の真っ最中に、多くの企業が２１世紀を視野に入れた企業ビジョンを作成しました。
どのビジョンも超成長型のものであり、私が調べた範囲では、各企業の１０年後の売上高見通しは、平均で２．３倍（年平均成長率８．６％）に上るものでした。
こうしたビジョンはその後の環境変化により、ほとんど意味が無いものになってしまったことは言うまでもありません。
このようなことから、企業ビジョン自体の「意義」について否定的な見解が多く出てきた訳ですが、最近また、今回のＮＴＴドコモのように企業ビジョンを作成する企業が増えてきています。
私としては、要は企業ビジョンの「内容」だと思います。
確かに１０年前のような、「数字遊び」的なものは意味が無いでしょう。しかしながら、企業としての存在意義（こだわり、アイデンティティ）を明確にし、将来的な企業の
指針を示すことは、今後更に厳しくなる競争社会において、非常に重要なことだと思います。
日清製粉は、「マイレージキャンペーン」の手法を活用して、中小小売店向けの営業を活性化する。
第一弾として、西日本地域の取引先を対象に、特定商品の仕入れ数量に応じて、オフィス用品を贈るキャンペーンを実施する。
金銭的なインセンティブではなく、オフィス用品を贈ることで、対象商品の特売を抑えることを狙う。
＜1999･4･22 日経産業新聞＞
ワーナーミュージックは４月から「洋楽の旧譜３枚で旧譜１枚をプレゼント」という業界でも初めての試みを始めた。
商品に付いているシールを集めて郵送すれば必ず商品がもらえるというもの。
販売不振の旧譜を「動かす」ことが狙い。
＜1999･4･23 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
２つの事例とも、他の業界で効果があった販促策をヒントにしたものです。
日清製粉の場合のヒントは、いわずと知れた航空会社のマイレージキャンペーンあり、ワーナーミュージックの場合は、最近アサヒビールたキリンビールが行っている販促策をヒントにしました。
物が売れない時代の中で、各社ともに「売り方の工夫」に苦労していますが、今回の事例のように、他の業界に目をむけてみることは、閉塞した頭をリフレッシュするのに非常に有効です。
但し、今回の日清製粉の事例については、成功するか疑問です。
航空会社のマイレージの成功要因は、会社ではなく、「個人が得をする」仕組みを作ったことであり、今回の例は、こうした成功要因には合致しません。
サントリーは業務用樽詰め発泡酒の分野で、ラーメン店、そば店等小規模店舗の新規開拓を進める。飲料水と発泡酒の両方が注げる省スペース型サーバーを投入し、アルコール類を販売していない店舗を中心に開拓する
＜1999･4･21 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
いわゆる「空白地帯攻略戦略」の事例です。
キリンが発泡酒に参入して以来、苦戦が続いているサントリーですが、やはりマーケティングは非常に優れていると思います。
「省スペース型サーバー」の開発は、ターゲットとしている店舗の実態をきちんと把握していないと発想できません。
「お客様の立場に立って、お客様が喜ぶことを提案する」ことがマーケティングの鉄則であり、今回の事例は非常に合致していると思います。
シチズン時計が自社工作機械のＰＲのために「キャラバン隊」で全国行脚。
シチズン時計はＣＮＣ自動旋盤など最新の工作機械を積んだ専用トラックで顧客を訪ね、無料で加工方法等を実証する「キャラバン隊」を組織し、６月から全国展開する。
内覧会などに顧客を集めるのでなく、営業部隊が直接出向いて製品をＰＲして設備更新を促す。
ユーザーにとっては同社の営業拠点に出かけなくても、無料で工作機械の加工速度や精度を確かめられる利点がある。
＜1999･5･13 日経産業新聞＞
トヨタ自動車が低料金で試乗できる拠点を開設したところ、有料にもかかわらず若年層を中心に多くの来店客を集めている。
臨海副都心の巨大テーマパーク（ＭＥＧＡ
ＷＥＢ）内に開設した試乗センター「ライドワン」は営業スタッフが同乗しないので顧客が気兼ねせず、１回２００円という価格ながらゲーム感覚で利用できる。
「ライドワン」では小売りは行わないが、試乗した客が地元の店で新車を購入するケースが増加したとのこと。
＜1999･5･21 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
２つの事例とも、お客様に「体験」させることで製品の良さを実感してもらう販売促進戦略です。
成熟化した業界では、過去の自社製品や競合製品と差異を「紙」や「言葉」で伝えることが非常に難しくなっています。
お客様の立場からすると、いくら良い点を説明されてもなかなか理解できません。
こうした壁を打破するためには、いかに「百聞は一見に如かず」という状況をつくり出すかがポイントになります。
ＪＴＢは大企業などの社員の出張を支援する情報システムを開発した。導入企業とＪＴＢが電子データをやりとりし、出張の申請から航空券、ホテル等の手配、社内での精算業務までのほぼすべての作業をネットワーク上でできるようにする。
社内ネットには旅費や日当など企業ごとの出張規程に合わせた情報も組み込める。
企業側は出張旅費や事務処理にかかる手間を省けるメリットがある。
＜1999･5･14 日本経済新聞＞
＜ポイント＞
企業の業務のアウトソーシングを利用しての「囲い込み」戦略です。
顧客にメリットがあるサービスを提供しながら、顧客の「肝」をガッチリ握り、他社に変えたくても変えられない状況を作り出すことが重要です。
特に今回のケースでは、社内規程の組み込みがポイントだと思います。
ソフトバンクと全米証券業協会（ＮＡＳＤ）が日本版ナスダックを新設。
ソフトバンクとＮＡＳＤは、共同で日本版のナスダックを新設する。
米国店頭株式市場の銘柄の取引を可能にするだけなく、米国と同様に成長企業を対象とする株式市場自体を新設する。
ソフトバンクとしては、現在投資している百社以上の企業を順次上場させることにより多額のキャピタルゲインが期待できる。
＜1999･6･16 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
６月のビジネス関連の記事でもっとも大きく取り上げられたものです。
自社の製品を拡販するために自ら顧客を育成する戦略（いわゆる顧客育成戦略）は、これまで多くの企業で見られました。
しかし、今回のソフトバンクの戦略は、顧客を育成するのではなく、市場自体を創出・育成するものであり、そのインパクトは比ではありません。
孫社長の戦略性を改めて認識させられました。
既存特権を有する省庁や証券会社等からの反発は予想されますが、社会ニーズに合致しているものであれば、いずれは実現すると思われます。
今後の動向が非常に注目されます。
アサヒビールは社員が自主的に参加できる「選択型研修制度」を導入した。
これまで入社年次ごとに画一的に行ってきた一斉参加型研修制度を見直し、各自のキャリア形成や能力に見合った研修プログラムを自由に選べるようにした。
自発性を重視する制度のため、講師料や教材費といった研修費用については社員にも一部を負担してもらうようにする。
＜1999･6･25 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
コンサルタントとしてこれまで数多くの研修を行ってきましたが、最も気をつかうことが「いかに『やらされ感』を無くし、自発的に気持ちになってもらうか」ということでした。
『やらされ感』で受講していても、ハッキリ言って何も残りません。全くの時間の無駄です。
「とにかく講座を開設して教え込もう」という考え方は、人事担当者のマスタベーションのようなものです。
最近は、今回の事例のような「自発性」を重視した研修制度が増加していますが、これは、極めて当たり前のことと思います。
トイレの総合メンテナンスサービスを手掛けるアメニティは「トイレ診断士」と名づけた独自の資格制度を設け、サービス質的向上に取り組む。
資格取得の試験は「人数当たりの必要トイレ数」「トイレットペーパーの標準消費量」等の２時間の筆記試験と２時間の実技試験によって構成される。
顧客からの信頼獲得と、社員の能力育成が狙い。
＜1999･7･19
日経産業新聞＞
＜ポイント＞
本事例は上述の通り、「対外的」と「対内的」の２つの狙いがあります。
サービス業は、提供するサービスが「目に見えないもの」が多く、他社に対する優位性を明確にすることが難しいという特徴があります。こうしたことから、各社ともに「実績」等を前面に打ち出し自社サービスの信頼性をアピールしていますが、そうした方法とは別の方法でアピールする今回の取り組みは非常にユニークです。
しかし、より重要なのは「対内的」な狙いの方です。
サービス業にとって品質を維持・向上するための最大のポイントは「人」です。
今回のような資格制度は、新人に対しては、今後目指すべき最低限のレベルを明らかにするとともに、ベテラン社員にとっては更なる能力向上の「動機づけ」となるでしょう。
日本能率協会は顧客企業が推薦する優秀なスタッフの接客場面を撮影し、ビデオを見てどこが優れているかを社員に実感してもらう「気付きのプログラム」を開始した。
数十時間の録画から９０分前後に編集されたビデオを見せながら、社員に対して今まで何気なくこなしていた接客業務の奥深さを理解してもらうことが狙い。
＜1999･7･8 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
「ナレッジマネジメント」という言葉が流行っています。これは「成功事例等を収集・分析し、組織内の経営資源として蓄積した上で、共有化することにより組織能力の強化に活用する」という経営手法です。
競争が激しい世の中で、「社内の知恵」の活用は非常に重要であり、私自身も大賛成です。
但し、難しいのが「運用」であり、いくらシステム的に整備しても情報の受け手がその背景等を知らないために、なかなか内容を理解できないことが多くあります。
今回の事例は、方法としては極めて原始的ですが、効果は結構期待できると思います。
「百聞は一見に如かず」であり、一連の業務の中で、実際に良いところを「見る」ことは参考にもなり、刺激にもなるでしょう。
ヨネックスが伊達公子氏のテニスの幼児向けの臨時教室を大都市部で展開
ヨネックスは幼児向けのテニス需要の開拓に本格的に乗り出す。
幼児向けのテニス指導のマニュアルを作成し全国のインストラクターに対して専門講習を始めるとともに、８月下旬からは伊達公子氏が講師を務める幼児向けの臨時教室を大都市部で展開する。
幼児需要を掘り起こすことでテニス市場の底辺拡大を目指す。
＜1999･8･6 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
本事例は典型的な「顧客育成戦略」です。
テニスは１９８０年から１９９０年代までのブームを支えた大学生のテニス離れで最近は市場の縮小傾向が続いています。
こうした中、自分たちの手で幼児層のテニス人口を拡大することで将来の安定需要を確保しようという考えです。
こうした戦略で最も有名なのはヤマハ音楽教室です。ピアノの楽しさを知ってもらい家庭でのピアノの普及に成功しました。
今回のテニスのように一度下火になったものを盛り返すことは容易ではありませんが、過去のテニスブーマーの子供を取り込むことにより、親も復活させることが可能ではと思います。（因みに我が家がまさにその例です）
アサヒビールは今秋から社員が人事制度や職場環境などの現状についてどの程度満足しているかを測定する「人材高度満足度システム」を導入する。
社員に配備しているパソコン端末を使って人事等に関する社員の意見をアンケート調査し将来の人事異動に生かして行く。
アンケート項目は「人事異動・職場配置」「昇格」「職場環境」「職場内のチームワーク」「人材育成方法」など。
＜1999･8･27 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
最近「顧客満足」が非常に声高に叫ばれていますが、顧客満足の前提は「従業員満足」です。
いくら顧客満足のための制度や仕組をつくっても、それを実践する従業員が会社や仕事に不満を持っていれば絵に描いた餅になります。
逆に、従業員が本当に生きがいを感じて働いていれば自然と顧客に対する対応が変ってきます。
アメリカのサウスウエスト航空は、徹底した「従業員第一主義」を唱っていますが、顧客からの評判も最も高い航空会社でもあります。
今回のアサヒビールの事例はこうしたことを十分理解した上の取り組みです。
今後ビジネスの世界では、「従業員満足」がキーワードになることが予想されます。
スポーツ用品店チェーンのヒマラヤは、三井海上火災保険と積雪量のデリバティブ契約を締結した。
約１，０００万円の掛金（正確には資金）で、積雪量が少ない場合最大1億円まで補填される権利を有する。天候による収益変動を回避することが狙い。
また、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドは、期間８年、総額２４０億円の地震債権を発行した。
ＴＤＬを中心に半径７５ｋｍ以内でマグネチュード６．５以上の地震が発生した場合、元本の一部または全額を受け取れるもの。
ＴＤＬ自体は耐震構造で心配ないが、大災害が発生した場合の来場者減によるキャッシュフローの補填が狙い。
＜1999･9･21 日経流通新聞＞
＜ポイント＞
「リスク管理」は近年の経営の重要なテーマであり、為替対策等、金融関係を中心にいろいろな取り組みがされておりますが、今回の事例のように「天候」まで考慮したものは珍しいと思います。
今月は、まさに台湾で阪神大震災級の地震が発生しましたが、このような悲劇を目の当たりにすると、こうした取り組みの必要性を実感します。
横浜ベイスターズは来シーズンから１２球団で初めて2軍（ファーム）経営に社内分社化を導入する。
２軍は将来の1軍出場選手を養成する教育機関であるが、経営面では収益の足かせになっており、疑似独立採算制を導入することにより経営の自立を促す。
また、同時に意識改革を図るために球団名も「横浜」から「湘南」に変更する。
＜1999･8･27 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
企業のリストラクチャリングが進む中で、社内分社化を行い事業採算を明確にする動きが目立ちますが、一方で「育成」という名目で赤字を垂れ流しているのに手をつけることができない事業を抱えて苦しんでいる企業を多く見ます。
事業である以上、基本的には「赤字」は許せないことであり、たとえ育成目的であってもどこかで決断を下す必要があります。
私がこれまで見てきた多くの場合、いわゆる「育成」部門の赤字の最大の要因は、「赤字でも仕方ない」という甘えです。
こうしたことから考えると、今回の事例はまさに妥当と思えます。
日産自動車が村山工場と日産車体の京都工場の閉鎖を柱とする「リバイバルプラン」を発表した。
カルロス・ゴーン最高執行責任者が総指揮をとって作成した今回の再建計画は、日本的な「温情」を排し、世界的な競争を強く意識したもの。
「日本標準」から「世界標準」への脱皮が成功するのか、今後が非常に注目される。
＜1999･10･19 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
この日産自動車のリストラの記事は、１０月の産業記事の中で最も大きく取り上げられたものです。
日本の代表的企業である日産がルノーの支配下になったことで、どのように変わるかは
以前から注目されていたわけですが、「まさかここまで」という人がほとんどだった
と思います。
「雇用を守れない経営者は去れ！」と発言したトヨタの奥田会長と全く対照的です。
私の個人的見解としては、日産の将来を考えるとプラスになると思います。
今回、いろいろなテーマが出されていますが、内容的には、ほとんどの人がこれまで「やるべき」と思っていたことばかりではないでしょうか。
いろいろなシガラミの中で隠れていたことが、今回の黒船来襲で表に出てきたということだと思います。
世界的な企業再編が進む中で、こうした日産のような例が、いろいろな業界ででてくるものと思われます。
森ビルと米通信大手のＭＣＩワールドコムは東京の赤坂・六本木地区にある森ビルグループ所有のオフィスビル群をつなぐ光ファイバー網を建設、テナントを対象に高速データ通信サービスを提供する。
大口ユーザーの取り込みのために大手不動産大手と組みたいワールドコムと、情報通信網の充実によってテナント獲得競争で優位に立ちたい森ビルの思惑が一致した。
＜1999･10･19 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
一見、異色の組み合わせのように思いましたが、狙いを読むと「なるほど」とうなずけます。
ご存知の通り、バブル崩壊後、不動産業界は不況のどん底にありますが、そんな中でも競争要因だけは、確実に変化しているようです。
マイクロソフトのビル・ゲイツやソフトバンクの孫社長などは『現在の「ＩＴ革命」は「産業革命」と同じくらい大きな構造変化である』と話していますが、確かに今後こうした変化はすべての業界に波及して行くでしょう。
「ＩＴなんてコンピュータ業界の話で自分たちには関係ない」と考えている経営者もまだまだ多く見受けられますが、いずれ、「考えざるを得ない」状況になるのは間違いありません。
アサヒビールは酒販店向け新業態提案を進める。
クリーニングの取り次ぎ等、酒販店の配送機能を生かした宅配代行等、酒類業務に付加機能を加えた店づくりを提案していく計画で、自社の全国営業網を活用して情報提供やコンサルティング活動に取り組む。
２００３年の酒類免許の完全自由化で量販店やコンビニエンスストアなどに押されて酒販店の生き残りが厳しくなると見られるため、支援を本格化する。
具体的な内容は各酒販店の要望や周囲の環境などを配慮して１軒ごとに提案して行く考え。
＜1999･11･10
日経産業新聞＞
＜ポイント＞
アサヒビールは１９８０年代から９０年代にかけて、日本の中で、最も成功した企業のひとつでしょう。
スーパードライによって、それまで、まさに「ガリバー」だったキリンビールを逆転した話はマーケティングの代表事例として、後世に語り継がれることと思われます。
しかしながら、そのアサヒビールを取り巻く状況も厳しくなりつつあります。
売上高の対前年同月比がマイナスとなり、また、発泡酒のシェアは右肩上がりに増えています。
今回の事例は、こうした事業環境の中での「守り」の戦略と言えます。
自らの経営基盤である酒販店を支援することでシェアを保つことを狙いとしていますが、酒類だけでなく、クリーニング等の配送代行までも推進するところに苦心が感じられます。
商社や卸売業者は、近年、いわゆる「中抜き」が進む、流通変化に対応するために「リテールサポート（小売店支援）」を展開してきましたが、こうした支援自体が「中抜き」になりつつあることを感じさせます。
日興證券は、管理職前の社員の月給を勤続年数にかかわらず、一律３０万円とする新給与制度を導入する。
賞与は夏と冬を合わせた支給上限額を月給の年間合計額の２倍を目処に設定する。
この制度の導入に伴い、管理職への登用までの期間を現状の１０年から５～６年程度に短縮する予定。
＜1999･12･27 日本経済新聞＞
＜ポイント＞
これまでも、実力主義の徹底と若手の登用を目的とした人事制度は多くの会社で行われてきましたが、その中でも本事例は、特筆に値します。
「仕事に対してお金を払う」ということは、非常に当たり前のことですが、一般企業ではなかなか実現できていません。
今後は、どのような職業でも「プロフェッショナル化」が進みます。こうした潮流の中では、属人的な人事制度の見直しは必須です。